<内容>※発行元HPより
　大王墓と考えられる巨大古墳は、古墳時代の始まりである3世紀中葉以来、奈良盆地に築かれていましたが、前期末の4世紀後半以降には、大阪平野の百舌鳥・古市の地に築かれるようになります。大王墓の大阪への移動は、どのような背景によるものでしょうか。このことを考えるためには、百舌鳥・古市で大王墓が出現する前夜の様相を知ること、両古墳群が築かれる河内や和泉をはじめとする周辺地域の動態や、大和における大王墓のあり方、そして当時のヤマト王権がおかれていた国際的な状況を探ることが重要です。
　今回の展覧会では、百舌鳥・古市古墳群における大王墓の出現がどのような背景によるのか、そして百舌鳥・古市古墳群を擁する地域やその周辺がどのような社会であったのかについて、考えたいと思います。
<目次>
巻頭論考　
白石太一郎「百舌鳥・古市古墳群出現前夜の畿内」
展示解説
はじめに　畿内における大型古墳の変遷
第1章　百舌鳥・古市古墳群以前の大和　佐紀古墳群
　佐紀陵山古墳　衛門戸丸塚古墳　宝来山古墳　佐紀石塚山古墳　五社神古墳
　佐紀古墳群の盗掘
　古墳時代前期後半の鏡について
　佐紀古墳群周辺の集落
第2章　百舌鳥・古市古墳群以前の河内・和泉
1 玉手山古墳群と松岳山古墳群
　玉手山一号墳・三号墳・四号墳・五号墳・六号墳・七号墳・九号墳・一〇号墳　西山古墳　駒ヶ谷宮山古墳　松岳山古墳　茶臼塚古墳　向井山茶臼塚古墳　ヌク谷北塚古墳　ヌク谷東ノ大塚古墳　ヌク谷南塚古墳
　古墳時代前期の武器・武具
　使用石材の話
　埴輪の移り変わり
　松岳山古墳群と紫金山古墳の鮨付円筒埴輪
　明治時代の松岳山古墳群
2　南河内、石川流域の前期古墳
　壷井御旅山九流谷古墳　庭鳥塚古墳　鍋塚古墳　真名井古墳　宮林古墳　廿山古墳　寛弘寺一〇号墳・一二号墳・二〇号墳・二一号墳　山中田二号墳　板持丸山古墳　板持三号墳　大師山古墳
　埋葬施設の構造と移り変わり
　墳形の話
　腕輪形石製品の話
3 和泉北部の前期古墳
　和泉黄金塚古墳　摩湯山古墳　馬子塚古墳　久米田貝吹山古墳　大園遺跡　菩提池西遺跡
第3章　大王墓出現以前の百舌鳥・古市古墳群
　乳岡古墳　五手治古墳　津堂城山古墳
　近畿地方における半島系遺物
　文字史料から見た四世紀前後の倭と中国・朝鮮半島諸国の国際関係
さまざな「倭」
付　論
市村慎太郎　百舌鳥・古市古墳群出現前夜の土師器
論　考
三好　玄　大園遺跡出土埴輪の再検討
特別論考
岸本直文　玉手山古墳群・松岳山古墳と河内政権論