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【内容】
　本書は、2011年12月に急逝した、故新屋雅明氏の縄文時代後・晩期土器編年研究の著作集である。新屋氏は、寿能泥炭層遺跡を出発点として、赤城遺跡、久台遺跡、石神貝塚、大木戸遺跡など、埼玉県を代表する縄文時代後・晩期遺跡の発掘調査、整理、報告書作成を担当し、緻密な分析作業により多大な成果を挙げた。中でも、後・晩期の加曽利B式〜安行式土器について、「組成論的な立場」からの分析姿勢を基本に多数の優れた論文を著わした。1章、2章は加曽利B式土器、3章〜7章は安行式土器を取り上げ、伴出関係が確かな遺構出土土器を中心に据え、器種、文様帯、文様変化、相互関係について詳細な型式学的検討を行い、土器群の変遷と編年的位置付けを明確にした。また、基本資料が丁寧に集成されており、縄文土器研究に大きく貢献することは確実である。
序 小林達雄、解題 大塚達朗。

【著者略年譜】
新屋雅明(あらや　まさあき)
1960年7月6日 埼玉県上福岡市で生まれる
1979年 國學院大学文学部史学科入学
1979年〜1984年 寿能遺跡発掘調査, 報告書刊行(考古調査員)
1983年 國學院大学文学部史学科博士課程前期入学
1985年 國學院大学文学部史学科博士課程前期修了　修士論文「加曽利B式土器の再検討」提出
1985年 財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団入団
1985〜1986年 赤城遺跡発掘調査(調査員)
1988年 報告書「赤城遺跡」『埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書』第74集刊行
1991年 「大宮台地における後期末から晩期初頭の土器群について」『埼玉考古学論集　設立10周年記念論文集』執筆
1992年 報告書「新屋敷・本郷前東」『埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書』第111集刊行
1992年 『シンポジウム縄文時代後期・晩期安行文化―土器型式と土偶型式の出会い―』(埼玉考古学会)参加
1995年 石神貝塚発掘調査,今羽丸山遺跡整理作業
1996年 石神貝塚,久台遺跡発掘調査
「埼葛地域の安行3c式」『埼葛地域文化の研究　下津弘君・塚越哲也君追悼論文集』執筆
1997年 整理報告書「石神貝塚」『埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書』第182集刊行
久台遺跡発掘調査
1998年 石神貝塚発掘調査　報告書「石神貝塚�供廖愃覿霧�埋蔵文化財調査事業団報告書』第254集刊行
2001年 久台遺跡発掘調査
2001年 「深作稲荷台遺跡�供廖愃覿霧�埋蔵文化財調査事業団報告書』第271集刊行
2004年 第17回縄文セミナー『晩期中葉の再検討』(縄文セミナーの会)参加　資料集に「埼玉周辺の晩期中葉の様相」執筆
2005年 シンポジウム『「環状盛土遺構」研究の到達点』(馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム実行委員会)参加
2007年 報告書「久台遺跡�掘廖愃覿霧�埋蔵文化財調査事業団報告書』第339集刊行
2007年 「大宮台地を中心とした縄文時代後晩期拠点集落の様相―石神貝塚・久台遺跡・赤城遺跡―」『環状盛土遺構の現段階』(馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム実行委員会)執筆
2008年 「晩期安行式土器」『縄文土器総覧』執筆
2009年 大木戸遺跡発掘調査
2010年 清左衛門遺跡の発掘調査
報告書「大木戸遺跡�供廖愃覿霧�埋蔵文化財調査事業団報告書』第355集作成
2011年12月24日　逝去

【目次】
序　小林達雄
第1章　加曽利B式土器の再検討
はじめに
第1節　研究略史
第2節　加曽利B式土器の再検討
第3節　加曽利B式土器と周辺地域の様相
第2章　石神貝塚出土の加曽利B式土器
はじめに
第1節　出土土器の分類
第2節　遠部土器群について
第3節　加曽利B1式士器について
第4節　3単位把手を有する深鉢形土器
まとめ
第3章　大宮台地における後期末から晩期初頭の土器群について
はじめに
第1節　安行2式,安行3a式をめぐる研究略史
第2節　安行2式の波状口縁深鉢形土器
第3節　安行2式〜安行3a式の平口縁深鉢形土器
第4節　安行3a式の波状口縁深鉢形土器
おわりに
第4章　大宮台地出土土器を中心とした安行式土器の編年
はじめに
第1節　各系統の変遷
第2節　各時期の出土資料と編年上のいくつかの問題について
第5章　埼葛地域の安行3c式
はじめに
第1節　埼葛地域の安行3c式
第2節　安行3c式の変遷
第6章　晩期中葉の再検討―埼玉周辺の晩期中葉の様相―
はじめに
第1節　各段階の様相
第2節　当地域に見られる中部地域との関係
第7章　晩期安行式土器
第1節　研究史
第2節　土器製作技法
第3節　土器の型式と使用法
第4節　施文具の種類・文様
第5節　編　年
第6節　14C年代測定データ
第7節　様式の系統・分布と地域性
引用・参考文献
著者略年譜
初出一覧
あとがき
解題　大塚達朗