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　植民地時代の韓国についての研究、特に植民地地方政策研究で重要な資料となるもののひとつが朝鮮総督府が発行した各種雑誌及び単行本です。その中でも朝鮮総督府機関誌は、日本帝国主義の朝鮮支配政策を知るうえで、最も基本的な資料であり研究対象です。朝鮮総督府機関誌は、多くは京城日報や毎日申報などの日刊新聞を指すと思われがちですが、厳密にいうと「機関誌」は朝鮮総督府が直接、定期的に発行するものに限ると言えます。そうした意味で朝鮮総督府の機関誌は、朝鮮総督府総務課と文書課が発行する月刊出版物です。
　朝鮮総督府は業績を広報するために、1911年6月から「朝鮮総督府月報」を刊行し、1915年3月からはこれに代えて「朝鮮彙報」を、1920年7月からは「朝鮮」を刊行しました。この月刊機関誌は、植民地支配言語である日本語で発行されましたが、1917年から1934年まで朝鮮語でも発行されました。「朝鮮彙報地方号」というタイトルで発行され、「朝鮮彙報」が「朝鮮」に改題されたとき「朝鮮彙報地方号」も「諺文朝鮮」というタイトルに変わり発行されました。
　朝鮮総督府で発行された月刊雑誌「朝鮮」は、1920年7月から日本語で刊行が開始され、1944年11-12月合併号、つまり、354号を最後に廃刊となりました。この雑誌は、発行期間と内容で見るとき、どのような植民地媒体より重要なものです。しかし、長い間これは単純に「植民当局が発行した機関誌」とみなされ、十分な分析と研究の対象から外されていました。雑誌「朝鮮」に対する最も大きな誤解は、日本語で刊行されたものと朝鮮語で刊行されたものが同一内容の雑誌だと思われていることです。しかし、日本語版「朝鮮」と朝鮮語版「朝鮮」は違うものであり、単純な翻訳物ではありません。朝鮮語版「朝鮮」は、1920年7月から日本語版と同時に発行されました。
　「朝鮮彙報地方号」がすべて残っているのに比べ、朝鮮語版「朝鮮」は残念ながらすべてが残っているわけではありません。特に1920年7月号から1922年12月号まで約2年6ヶ月のうち残っているのは、第39号(1920.12)と第51号(1921.12)、第54号(1922.3)です。そして第64号から第75号まで(1923.1-1923.12)、1924年度前半期の一部と1925年後半から1934年3月号までが国内にあります。