図版・解説　231頁　9788993719277
論考　151頁　9788993719284

2010年秋に国立公州博物館で開催された特別展「百済の冠」が「国立公州博物館研究叢書第24冊」としてまとめられ刊行されました。

(以下は特別展開催時の紹介文から引用しています。)
　百済の冠は、優れた芸術性が発揮された工芸作品であると同時に、着用者の権威を直接的に表す重要な象徴物です。「冠」は、頭を保護し、頭髪を整える機能から始まりましたが、 社会が徐々に発展するとともに、着用者の身分と地位を表す高度な象徴性を持つようになりました。5世紀を中心に作られた華美な百済冠は、百済の勢力拡張過程で、地方の有力勢力たちが中央貴族化してゆくことの象徴物と推定されます。
　2003年、公州水村里遺跡に始まり、瑞山、高興などで重要な百済金銅冠が相次いで発見され、扶余王興寺址と益山弥勒寺址で、その時期を正確に知ることのできる銀製冠装飾が出土しました。「百済の冠」 特別展は、こうした新しい資料とともに、既存の資料を集めて芸術に昇華された百済の権力を再照明しています。この間、百済の冠を代表した、羅州新村里出土金銅冠(国宝 295号)と益山笠店里出土金銅冠を含めて、 公州水村里遺跡、 瑞山冨長里遺跡、 咸平信徳古墳出土金銅冠など、新しく発見された百済の冠を一同に集めました。 また多様な形態の銀製冠装飾が、武寧王陵出土金製冠装飾(国宝 154号)とともに展示されました。ここに冠と冠装飾を支持した鉄製冠帽、扶余王興寺址出土雲母製冠装飾、羅州伏岩里出土金製円版型冠装飾などが出品され、百済の多様な冠文化をひと目で見ることが出来ます。