<内容>
各地域に展開された地域編年を再検討しながら、地域文化成立の過程と変容についての解明をおこない、列島の中枢をなす基層的な後期旧石器時代文化とは何か、また、そうした文化を引き起こすことになった外的または内的要因を明らかにし、その仕組みを紐解いていくことを本論の目的としている。特に各地域の地域性を重視しながらも、北と南からの文化的様相が拡散していくときに連鎖しながらもかつ変化する過程に注目した。(はじめにより抜粋)
明治大学学位論文に加筆、刊行。
<目次>
はじめに
第�吃堯‘�本列島の後期旧石器時代文化
第�局堯［鹽膾破銘蕊瑤�らの特異性
第1章　北海道地方の後期旧石器時代
1　編年研究の現状
2　各遺跡の概要
3　北海道地方の後期旧石器時代の諸問題
(1)　細石器石器群の様相
(2)　石器群の変遷
(3)　まとめ
第2章　東北地方の後期旧石器時代
1　研究の現状
2　各遺跡の概要
3　東北地方の後期旧石器時代の諸問題
(1)　細石器石器群と石刃石器群
(2)　「台形様石器」を含む小形剥片石器群
(3)　石刃石器群について
第3章　北陸地方の後期旧石器時代
1　研究の現状
2　各遺跡の概要
3　北陸地方の後期旧石器時代遺跡における型式と編年
(1)　近畿・瀬戸内系石器群
(2)　北陸地方の小形剥片石器群
(3)　石刃石器群
(4)　北陸地方の細石器石器群
第�敬堯［鹽膾覇鄰蕊瑤�らの特異性
第4章　九州地方の後期旧石器時代
1　研究の現状
2　各遺跡の概要
3　九州地方の後期旧石器時代の諸問題
(1)　細石器とナイフ形石器,台形石器,「台形様石器」の共伴関係
(2)　彫器,削器の発達
(3)　九州における尖頭器文化の欠落について
(4)　細石器石器群について
(5)　列島端部における細石器文化の様式差から考える後期旧石器時代の生業形態に関わる仮説
第5章　瀬戸内,中国地方の後期旧石器時代
1　瀬戸内地域とその周辺の遺跡の概要
2　瀬戸内地方の後期旧石器時代の諸問題
(1)　瀬戸内地方とその周辺における瀬戸内技法,国府型ナイフ形石器の様相
(2)　瀬戸内・中国地方の細石器の技術と形態
第6章　近畿地方の後期旧石器時代
1　研究の現状
2　各遺跡の概要
3　近畿地方の後期旧石器時代の諸問題
(1)　大阪平野における後期旧石器時代遺跡の層位的関係
(2)　サヌカイト原産地と瀬戸内技法・国府型ナイフ形石器,備讃瀬戸型横長剥片剥離技法について
(3)　瀬戸内,近畿地方の地域性と編年
第7章　東海地方,中部地方の後期旧石器時代
1　東海地方の遺跡の概要
2　中部地方の遺跡の概要
3　野尻湖遺跡群をめぐる中部地方の後期旧石器時代の編年と問題
第�孤堯［鹽臙羆�部の構造
第8章　関東地方の後期旧石器時代
1　武蔵野台地の後期旧石器時代遺跡
2　立地環境からみた武蔵野台地の遺跡分布
3　多摩丘陵の後期旧石器時代遺跡
(1)　多摩ニュータウン遺跡群
(2)　多摩丘陵南部の後期旧石器時代遺跡群
4　相模野台地の後期旧石器時代遺跡
(1)　研究の現状
(2)　相模野台地の石器群の変遷
(3)　相模野台地の地形環境
5　その他の地域
6　南関東地方編年の課題
第�紘堯‘�本列島の後期旧石器時代の動態
第9章　文化変容の仕組み
1　石器の組成からみた日本列島
2　日本列島の細石器的様相について
3　スクレーパーの動態からみた画期
4　荒屋型彫器からみた日本列島の系譜
5　地域の成り立ちと文化の構造
引用参考文献
おわりに
Summary