※「古代文化」2008年秋号に書評が掲載されました。
※書評が「第四紀研究　第47巻2号」に掲載されました。
下記のアドレスからPDFでご覧下さい。
(日本第四紀学会より許可をいただき掲載しております。
著作権は筆者及び日本第四紀学会にあり、無断での転用、転載は堅くお断りいたします)
http://www.book61.co.jp/info/1723.pdf
<内容紹介>
　現在の東京都調布市に位置する野川流域の人びとの暮らしは後期旧石器時代にはじまった。多くの遺跡が密集する野川流域は、日本の旧石器時代研究、ローム層研究の出発点でもある。「月見野・野川以後」と称される研究史上の一大画期となった野川遺跡を扱う本書は、旧石器研究の新たな一歩を踏み出すきっかけとなる。
<目次> 　
第1部　講演会記録 　
「旧石器時代の研究　野川から日本、そして世界へ」 　
「月見野・野川」の画期と日本列島の旧石器時代研究 鈴木次郎
後期旧石器時代の日本と東アジア 安蒜政雄
〈コメント〉 　
第2部　公開シンポジウム基調報告 小田静夫
　1.野川流域の旧石器時代遺跡-最近の立川面における調査から-
　　下原・富士見町遺跡における石器群と遺跡の変遷 藤田健一
　　調布市野水遺跡第1 地点の調査 小池　聡
　2.野川・多摩川中流域の地形・古環境 　
　　多摩川水系発達史異説-武蔵野変動仮説・古東京湖仮説から- 上杉　陽
　　多摩川の流路変遷と野川・多摩川間の地形の変遷 久保純子
　　下原・富士見町遺跡の立川礫層 中井　均
　3.旧石器人の生活空間-遺跡分布から分かること- 　
　　野川流域の旧石器時代遺跡の分布と変遷 下原裕司
　　立川面の旧石器時代遺跡　-その分布と古地形- 中山真治
　　武蔵野台地北部の旧石器時代遺跡 加藤秀之
第3部　公開シンポジウム総合討論記録 　
　　「野川流域の旧石器時代-地形・環境の変遷と人びとの生活-」
<推薦文>　
　野川流域は、列島で最も細緻でかつ今日も基軸となり続けている「武蔵野編年」を構築したフィールドとして、常に日本の旧石器時代研究を牽引してきた。その野川の地で、Geoarchaeologyという斬新で今日的な研究戦略を導入した明治大学校地内遺跡の調査を契機として、なぜ旧石器時代人が生活拠点として野川に参集し活動したかという根元的な問いに答えようと試みている。革新された旧石器研究の知的営為に関心をもつ多くの読者に、本書を推薦したい。
佐藤宏之(東京大学大学院教授)