縄文土器シリーズ第二弾として考古学的な時期区分による「前期」の土器を扱った。縄文前期には、それまでの土器の特徴であった“用の美”の枠を超え、機能とは直接は関わらないであろう過剰な装飾が施され、また多様な器形の土器が生まれた。はじめて漆工が定着したのもこの時期のことであった。各地で多様な展開をみせた縄文前期の土器群を細かく紹介しながら、往時の集落や生業のあり方等、土器を作った人々の生活についても概観する。約二〇〇点の図版を掲載した。

【主要目次】
■縄文前期とは
■諸磯式土器の発見と設定
■繊維土器の時代
■北海道の前期土器　―前期押型文系土器群―
■東北北部の前期土器　―円筒下層式土器群―
■東北南部の前期土器　―前期大木式土器群―
■関東の前期土器1　―羽状縄文系土器群―
■関東の前期土器2　―竹管文系土器群・浮島式系土器群―
■関西の前期土器　―北白川下層式土器群―
■九州の前期土器　―曽畑式土器群―
■いろいろな器形
■漆文化の定着
■土器や土器作り情報の移動
■土器に開けられた孔三態
■縄文集落研究で重要な役割を果たした前期遺跡たち

【コラム】
・縄文前期の環境、生業と定住性　(植月　学)
・「ダイメンション」でながめるカタチ学の未来　(津村宏臣)
・黒曜石の原産地分析―関東の縄文前期を中心に―　(建石　徹)
・縄文前期土器編年表/・土器以外の遺物
・図版目録
・付論:自然科学の手法を用いた縄文土器の研究