青森市の医師成田彦栄氏の収集品のなかから、考古資料275点、アイヌ民族資料33点と、蓑虫山人筆「陸奥全国神代石古陶之図」を掲載。考古資料は、縄文時代晩期に東北地方で華開いた亀ヶ岡文化の遺物が中心であり、八戸市是川遺跡出土品や県立郷土館が所蔵する風韻堂コレクションとともに貴重な資料といえる。成田彦栄氏の収集品は、これまで数点の著名な遺物が展示会や図録などで紹介されただけで、自宅の蔵の中に大切に保管され、ごく一部の関係者しか目にする機会がなかったため、長い間「幻のコレクション」であった。本図録には実測図や拓本、展開写真が豊富に掲載されており、普段ガラスケース越しには知ることのできない土器や土偶の作り方や細部の特徴が手に取るように分かる内容となっている。縄文文化の高度な工芸技術を物語る遺物を多数掲載。