<内容>
現在の野洲市大岩山で、大岩山銅鐸が、最初に発見されたのは、明治14年(1881)の夏、遊びにきた二人の少年によってであり、それを契機として14個の銅鐸が、地元の人たちにより掘り出されました。また、新幹線の土取り工事で、新たに10個の銅鐸が発見されたのは、昭和37年(1962)の初夏です。
　 明治発見の銅鐸については、東京帝室博物館(現東京国立博物館)に2個が収められたほかは、地元に払い下げられ、その後多くが海外も含め流出するところとなっています。ただ、昭和発見の10個については、関係者の努力により滋賀県の所蔵となり、現在は、当館が保管するところとなっています。こうした24個の銅鐸は、2点を除き所在が確かめられており、すべて突線紐式で、最古の�擬阿�ら最新の�梗阿泙任猟垢ご�間のものを含むだけではなく、そのうちには、近畿式が14個、三遠式が4個と、使用された地域が異なる多様な銅鐸が一括埋納されておりました。しかも出土状況についての証言や銅鐸の砂の付着状況などから、大・中・小の三個が入れ子状態で埋納されていた可能性が高いと考えられています。
　 本展では、こうした大岩山銅鐸の特質を明らかにするため、同時代に使用・埋納された銅鐸や、大岩山銅鐸と同様に複数で出土した銅鐸についても、時期の異なるものも含め、可能な限り集め、検討することにしました。その上で「大岩山銅鐸」を取り巻く問題点や歴史的意義について改めて考えてみたいと思います。 (企画展案内文より)
<目次>※本文編(論考部分)は約35頁
プロローグ　大岩山銅鐸の発見
1　大岩山銅鐸総覧
2　突線紐式銅鐸総覧
3　突線紐式銅鐸の成立と展開　近畿式と三遠式
4　「複数埋納」を考える
エピローグ　銅鐸祭祀の終焉　埋納と放棄と
本文編1　扁平紐式以後の銅鐸(難波洋三)
本文編2　大岩山銅鐸の特質(進藤武)
付編