<内容>
列島社会古墳時代の墳墓埋葬施設は基本的に竪穴系から横穴系へと変化する。一方、棺の素材と形態、棺を覆う椰や室の素材と形態は多種多様である。埋葬施設の多様さに加えて埋葬施設のなかには顕著な地域性をしめすものや、明確な階層性をしめすものがある。
これまでの13回にわたる九州前方後円墳研究会のなかで、埋葬施設の地域性や階層性については個別報告のなかでよく指摘されてきたところである。進展しつつある調査・研究を踏まえて、九州島の古墳埋葬施設の多様性を検討し、こうした様相が列島社会のなかでどのように位置付けられるのか考えることにしたい。こうした試みが、新たな九州古墳時代像を提示する契機となることを期待したい。(開催趣旨全文を引用)
<目次>
【総 論】
宇野 慣敏　「九州古墳時代の埋葬施設にみる階層秩序と地域性」
【各 論】
辻田淳一郎　「九州における堅穴系埋葬施設の展開」
林田 和人　「割抜式石棺からみた地域性と階層性」
柳澤 一男　「九州島における古墳時代横穴系埋葬施設の地域性と階層秩序」
【地域の概要】
蔵富士 寛　「玄界灘沿岸」
三好栄太郎　「有明海沿岸地域における埋葬施設の多様性」
山口 裕平　「九州島東北部における古墳埋葬施設の多様性」
若杉 竜太　「豊前南部・豊後における古墳埋葬施設の多様性　地域性と階層性」
津曲 大祐　石村 友規　「日向・大隅における古墳埋葬施設の多様性」
藤井 大祐　「薩摩地域における古墳時代埋葬施設の多様性」