※いつもは資料集ですが、今回は発表要旨です。原稿は各発表者とも本資料から内容が追えるように編集してあります。
<内容>
石を素材とする考古資料は古墳の石室や石棺といった大型のものから、石器や石製品という小型のものまで多様です。いずれの資料においてもその素材となる石材の選択は、用途や製作技術、また石材の産出地との地理的関係に影響を受けることが原則的であると考えられます。しかし古墳の石室石材や石憎材、また副葬品にみられる石製品にはそれらの要因を越えて、社会的、あるいは政治的な関係の中で選択されたとみなされるものも認められ、その背景の追求は、考古資料による社会復元の重要な材料となることが予想されます。
今回の研究集会では、各地域、各時代に特徴的な石材について、基礎的な流通や使用の実態を確認するとともに、そこから導かれる歴史的背景の変化について検討を深めていきたいと考えます。また原石のサンプルを持ち寄り、実見することにより、研究の素材としての「石材」についての理解を深めると同時に、「遺跡調査にも役立つ」研究集会となることを目指したいと思います。(開催趣旨より)
<目次>
地域報告1　若林幸子　「近畿における弥生時代の石材流通J
地域報告2　船築紀子　「中d四国における弥生時代の石材純
地域報告3　森 貴教　「北部九州における弥生時代の石器流通
地域報告4　奈良拓也　「前郷古墳(竪穴式石槨)における石材の選択と流通」
地域報告5　北山峰生　「古墳時代前期における石棺の移動」
地域報告6　高橋幸治「腕輪形石製品の石材と流通」
地域報告7　高木恭二「九州産石棺の分布と生産」
地域報告8　中村 弘「竜山石と石棺石材J
地域報告9　大賀克彦「玉(玉素材)の流通とその背景
基調報告　今西康宏「今城塚古墳にみる石材の流通とその背景」