<内容>
　昨年の第13 回研究集会では、「円筒埴輪の導入とその画期」をテーマに、「前期の中の画期」について検討しました。中国四国地方の前期円筒埴輪が網羅的に集成されるとともに、前期中葉に畿内的な埴輪が波及する状況を各地で確認できたことは大きな成果でした。
　この成果を受けて、今回は中期の様相について検討したいと思います。古墳時代中期は限定された地域で最大規模の前方後円墳が築かれた時期ですが、中期前半から後半にかけて、そうした大型前方後円墳が次代に続かず断絶する地域がみられるなど、首長系譜に変動が生じたことが中国四国の各地で明らかとなっています。埴輪に目を転じると、B種ヨコハケに代表される畿内的な特徴を備えた円筒・形象埴輪が広く波及し、各地域
で多様な展開をとげる時期でもあります。中期前半に見られる首長系譜と埴輪のそれぞれの画期は、どのように関係し、どのような歴史的事象を反映しているのでしょうか。
　今回の研究集会では、資料の集成と併せて山陰・山陽・四国の様相をご報告いただき、埴輪の画期や技法伝播が示す集団関係を復元することによって、首長墳の消長の背景となった中期の時代像を探ってみたいと考えています。(シンポジウム開催案内より抜粋)
<目次>
〔総括報告〕
野崎 貴博　中四国の埴輪棺と地域間の交流
〔地域報告〕
須賀 照隆　山陰地域における古墳時代中期の埴輪　出雲地方を中心として
山田 俊輔　山陽地域における古墳時代中期の埴輪
西本 和哉　四国地方における古墳時代中期の埴輪
【中国四国地方 中期古墳出土埴輪集成】　※約220頁
鳥取　島根　岡山　広島　山口　香川　徳島　愛媛
※集成に掲載されている項目は、遺跡名、出典元文献、古墳の図版(と大きさ)、埴輪図面。各県ごとに県内のどこから埴輪が出土しているかわかるような地図が載っています。