<内容>
　千葉大学文学部考古学研究室は、1982年に故麻生優先生が着任されて以来、はや30年を迎えた。発掘者談話会のメンバーとして、故麻生先生の薫陶を受け、その後、千葉大学へ赴任された岡本東三先生も、この節目の年に定年を迎えられる。
　故麻生先生の「フィールドから学べ」の精神を掲げて、地道に展開されて来た歩みを記念し、本研究室に係る30名の執筆者によって、様々な分野の論稿を掲載する。(編者紹介文より)
<目次>
第1部
沖ノ島海底遺跡の意味するもの　縄紋海進と隆起現象のはざまで　　岡本東三　
環状ブロック群の遺跡構造と究極要因　宇井義典　
荒屋系細石刃石器群の諸相　荒屋遺跡と関東地方の事例を中心に　　永塚俊司　
田中正太郎の石器観察　岐阜県飛騨市河合町とや出土の尖頭器資料から　　松井　朗　
物見台式土器二細分論　東北地方北部における縄紋時代早期中葉の編年整備に向けた基礎的作業　　橋本　淳　
縄紋時代早期子母口式土器の一断片　小笠原永隆　
鵜ガ島台式土器古期の様相　井上　賢
石器文様論　田中英司　
獣面突起の変遷　諸磯b式における文様との相関性から　　近江　哲　
阿高式系土器の編年的位置付け　縄文時代中期後半から後期初頭における九州の土器編年　　内山修三　
いわゆる「廃屋墓」に関する考察　その1　　千葉県内の竪穴住居跡から出土した縄文時代人骨の分析から　　四柳　隆　
関東北に於ける土器系列の相関1　「懸華状連接区劃文土器」の分布と加曾利E3式土器の終末　上篇　　　長山明弘　
硬玉の穿孔実験からみた穿孔方法の考察　堀　善之　
千葉県館山市大寺山洞穴遺跡における単式釣針製作工程　縄文時代後期の単式釣針制作方法の一例　　小野隆志　
縄文後期後半の微隆線土器の様相　阿部明義　
縄文時代後・晩期の北日本出土勾玉の系統と傾向　森山　高　
南関東地方における晩期土偶研究の現状と課題　安井健一　
館山市安房神社洞窟遺跡出土の動物遺存体　田邉由美子　
印旛地域の水域変化　戸谷敦司　
弥生青銅器の「埋納」あるいは「デポ」小考　石橋茂登　
吉ケ谷式土器成立に関する覚書　佐藤康二　
大型前方後方墳出現の新知見　白井久美子　
三角縁神獣鏡における傘松形文様の変遷　小細別分類からのアプロ　チ　　加藤大揮　
初期装飾における円文の検討　九州所在の装飾古墳を中心に　　加藤貴明　
奈良・平安時代の卜骨・卜甲に関する一試論　関東・東北の諸例を中心に　　國分篤志　
近世末〜中世末における下総国龍角寺縁起考　糸原　清　
払田柵における律令祭祀の様相と変容　形代としての土器　五十嵐一治
環根室海峡圏における貼付紋系土器の対比　南千島への「駆逐・移動」説をめぐって　　柳澤清一　
ヘレニズム時代のトロアス地域におけるウンゲンタリウムの出現と展開　鈴木慎也　
ダルダノス　Dardanos　墳墓とテネドス　Tenedos　の墓地を例として?　イタリア半島中部におけるCCF / pentola の編年研究　岩城克洋　
第2部
岡本先生を送る　岡本東三先生の年譜　岡本東三先生の研究業績