<内容>
伝統的建造物群内にすむ人たちは、文化財そのものにすまい、否応なしにその渦中にあります。生活を守るために、時に文化財にすまうのを忘れ、住環境を整えたい、あるいは自らの意志で家や町のデザインを選びたいと思うこともあるのだろうと思います。その意味で、自らがすまう文化財の維持に悩み、ジレンマを抱えているにちがいありません。また周辺にすむ人たちも伝統的建造物群の背景景観を保持するために意に反した理解を求められる場合があるでしょう。しかし、一方ですむ人なしに伝統的建造物群の維持や継承はあり得るのでしょうか。過疎化の進行するところでは、個々の建物の維持そのものに頭を痛めていることでしょう。このような心情のなかから如何に自らがすまう家や町なみを未来に伝え、「守ろう」という意識を持ち得るかが今回の一つの狙いです。(開催にあたってより抜粋)
<目次>
　講演
澁谷俊彦　「倉敷川畔伝統的建造物群保存地区・伝統美観保存地区に関する研究 変動と対応2008・2009・2010年度」
若林篤男　「佐渡金銀山の世界遺産登録にむけた町並み保存の現状と課題」
三浦孝章　「高梁市における歴史を活かしたまちづくり」
平岡正宏　「津山市城東地区の町並み保存にむけて 〜25年目の再挑戦〜」
岡本純夫　「輛の浦 〜この宝をどう伝えるか〜」
村田秀石　「水島のなりたちと亀島山地下工場」
中田啓司　「足守川パイプライン化計画と文化財保存」
野崎貴博　「岡山県立吉備路郷土館の廃止と存続を求める運動」
谷山雅彦　「史跡鬼ノ城の整備について」
　資料
・総社市鬼ノ城
・倉敷市の町並み保存