<内容>
　1997年3月に開催された第41回埋蔵文化財研究集会では、「古墳時代から古代における地域社会」について、各地の「群集墳の終焉の様相」と「村落形態の変化と地域官衙の出現」の2つのテーマを検討しました。特に後者のテーマでは、当時調査例が増加していた初期の地方官衙の事例が多数紹介され、その出現の様相について検討がなされました。一方で、集落形態の変化の検討は十分なものではなかったことから、第61回埋蔵文化財研究集会では再び、集落形態の変化を中心に「7世紀の地域社会」を考えていきたいと思います。
対象とする時代は7世紀を中心にその前後の時期(概ね6世紀後半〜8世紀前半)とし、対象とする遺跡は集落遺跡で、各地の集落の消長を中心とした動向、集落の内部構造構成施設の変化、官衙との関連性などを示していきます。その上で各地の共通性と差異について明らかにし、律令体制成立期前後の地域社会を考えていきたいと思います。
(開催にあたってより抜粋)
<目次>
基調報告
重藤輝行　「7世紀集落周跡の一側面　北部九州の集落内の倉庫の検討を中心として」
森岡秀人　「考古学・古代史から見た7世紀前後の地域社会変動　摂津国菟原郡周辺の分析実践を基軸として」
地域報告
吉田知史　「大阪府内の様相」
鈴木一議　井上主税　「奈良県の様相」
雨森智美　「近江における7世紀の集落」
神保公久　「筑後地域の様相」
菅波正人　「筑前地域の様相」
長　直信　「豊後地域の様相」
細田龍生　「肥後地域の様相」
紙上報告
小澤佳憲　「豊前地域の集落　古墳時代後期から奈良時代にかけての一考察」
岩橋孝典　「島根県における7世紀の集落遺跡について　出雲地域を中心に」
山田繁樹　「広島県の様相」
京嶋　覚　「大阪市域における7世紀前後の集落と交通」
中島皆夫　「山城地域の様相　乙訓南部地域を一例にして」