<内容>
　レプリカ法とはシリコン樹脂を土器などの圧痕部に注入、型取りして凝固、剥離し、それを走査型電子顕微鏡で観察し、圧痕の原因となる種子、原体、工具などを同定する分析法で、丑野毅先生により開発されました。このレプリカ法の分析対象は決して土器の圧痕だけではないのですが、日本列島の初期農耕の伝播と受容過程の復元に向けて、縄文時代晩期後半〜弥生時代前期土器のイネ、アワ、キビなど穀類の種実圧痕の分析で成果を上げています。「土器という確実な層位」という特性と土器編年研究を用い、また走査型電子顕微鏡を用いた精度の高い同定により、農耕文化の伝播と受容が見通せるからです。今回のシンポジウムでは韓国及び日本列島各地のレプリカ法データの現状を確認するとともに、それらデータをいかに評価すべきか、遺物、遺構、遺跡などの考古学データとの相関性を検討し、その評価を試みます。また収穫具の使用痕、弥生化現象、土器の種実圧痕の形成過程などを検討します。(シンポジウム開催案内より抜粋)
<目次>
中沢道彦　レプリカ法による近畿・東海・北陸・中部地方の調査成果とその評価
�霤栂吃А〇咳�地方の突帯文土器と種実圧痕
中村 豊　レプリカ法の成果と農耕の伝播と需要　中国
中村大介　朝鮮半島南部における農耕展開の現状
金姓旭　韓国と日本の収穫具の比較　比較研究のための基礎作業
宮地聡一郎　弥生化現象とは
戸村正己　菅谷通保　土器の種実圧痕の形成過程
丑野 毅　レプリカ法の理論と実践について