<内容>
　本シンポジウムは、出現期古墳の動向とその年代、交流・抗争など地域間の関係、邪馬台国をはじめとした諸国の所在地論争など、興味をそそられるテーマが数あります。そのようなとりわけ注目される議論とは別に、本シンポジウムは近年の発掘調査によって蓄積された成果に基づいて、考古学の立場から邪馬台国時代の各地の地域史をいかに描き出すことができるかという点にも大きな意味を見いだせるのではないでしょうか。列島各地で地道ではあるが、着実に構築されつつある調査研究の背景があってこそ、政治的中枢であつた大和との関係が論議できるようになったこともまた事実だと思います。
　邪馬台国時代、日本列島内でどんな文化交流があったか謎ですが、東国(あずまくに)といわれる地域にも出現期古墳が発見されています。今回は関東における邪馬台国時代の文化の様相についての、新たな知見も得られるものと確信しています。日本古代史における邪馬台国問題は、決着することのない永遠のテーマだと思いますが、列島各地には人々が居住し文化もあったはずですから、各地の文化を知り比較することは有意義なことだと思います。
(開催にあたってより抜粋)
<目次>
【発表要旨】
深澤　敦仁　2・3世紀の毛野の集落と墳墓
大村　直　邪馬台国時代の房総
西川　修一　2・3世紀のサガミの集落と古墳
比田井克仁　外来土器から見た2・3世紀の関東
赤塚　次郎　2・3世紀の東海と関東　東海系トレース再論
石野　博信　2・3世紀の関東・東海・近畿
(参考資料)
(関連資料)