<要約>※報告書抄録より
西尾市吉良町小山田出身の松平康親(松井忠次)は、家康に従って永禄4年(1561)の東条城攻めに参戦し、後に東条城代となった。三方ヶ原や姉川の戦いなどにおける戦功により、徳川家康の信任を得て、三枚橋城主(沼津)となった。天正11年(1583)に三枚橋城で63歳の生涯を閉じた後、自ら創建した法応寺の墓所に埋葬された。康親の子孫は譜代大名となり、石見国浜田藩主や一時岡崎藩主を勤め、武蔵国川越藩主にて廃藩置県をむかえた。
今回、墓石の移転に伴い発掘調査を実施した結果、康親墓の墓石の下面より遺骨を納めた常滑斐を発見した。また、隣接する康親顕彰石卑及び東条松平氏の墓所を調査するとともに、墓所内全域の発掘調査を実施した。
なお、本書には康親墓より出土した人骨の鑑定結果を掲載するとともに、松井忠次と東条松平氏に関する論考及び、康親顕彰碑文の解説を収録した。
<目次>
第1章 調査の経過
　第1節 調査に至る経緯
　第2節 調査の概要と経過
第2章 遺跡の位置と環境
　第1節 地理的環境
　第2節 歴史的環境
　　1 周辺の遺跡
　　2 東条城と法応寺
第3章 調査の方法と成果
　第1節 墓所周辺の測量調査及び範囲確認調査
　第2節 発掘調査の方法と本書の記述方針
　第3節 土塁状遺構の構造
　第4節 松平康親墓
　　1 石造物の構造
　　2 地下構造
　第5節 松平康親顕彰碑
　第6節 東条松平氏墓
　第7節 歴代住職等墓
　第8節 その他の遺構
　第9節 出土遺物
　　1 松平康親墓
　　2 松平康親顕彰碑
　　3 松平忠茂墓
　　4 松平家忠墓
　　5 松平忠茂・家忠墓墓壊
　　6 火葬遺構
　　7 SK1
　　8 墓所内出土各種遺物
　　9 墓所内出土瓦
第4章 自然科学的分析
　第1節 旧汝応寺墓所出上の人骨
　第2節 漆喰の化学分析
第5章 総括
　第1節 出土遺物の特色と年代
　　1 土器
　　2 瓦
　第2節 法応寺墓所に関わる文献史料_
　第3節 墓所の時間的変遷
　第4節 沼津乗運寺所在の康親墓
写真図版
付編
　付編1 東条松平氏と松井松平氏(小林輝久彦)
　付編2 三枚橋城主松平周防守源公碑文解説(小林輝久彦)