※シリーズ全4巻完結。歴史的に日本列島に居住してきた人類集団「ヤポネシア人」の起源と発展の歴史を、遺伝学・考古学・言語学などの文理融合研究によって紐解くシリーズ書。

【考古分野】
第1章　概論:先史時代のDNA分析 〔藤尾慎一郎〕
　1.1　考古学とDNA分析
　1.2　今後のDNA分析と考古学
第2章　同位体を利用した年代測定 〔坂本　稔、瀧上　舞〕
　2.1　同　位　体
　2.2　炭素14年代法(放射性炭素年代法)
　2.3　年代の較正
　2.4　人骨の年代とゲノム解析
　2.5　おわりに
第I部　縄文・弥生・古墳時代のDNA分析
第3章　DNA分析と縄文墓制──岩手県蝦島貝塚例を中心に 〔山田康弘〕
　3.1　はじめに
　3.2　各種埋葬属性はどのように理解されてきたか
　3.3　蝦島貝塚の墓域・出土人骨における各種埋葬属性の検討
　3.4　縄文墓制研究における前提の再考
　3.5　おわりにかえて──新たな仮説の提示
第4章　多様な弥生人──弥生人骨のDNA分析より 〔藤尾慎一郎〕
　4.1　二重構造モデルの見直し──渡来系弥生人の出自
　4.2　西北九州弥生人の見直し──混合集団
　4.3　水田稲作拡散の実態──渡来系弥生人の混血の実態
　4.4　土器の系統と核ゲノムとの関係──核ゲノムと文化との関係
第5章　DNA分析からみた古墳時代の親族構造 〔清家　章〕
　5.1　古墳時代親族構造論研究史
　5.2　ミトコンドリアDNA分析の成果
　5.3　ミトコンドリアDNA分析から想定される埋葬原理
　5.4　核DNA分析の成果
　5.5　移入者・婚入者の埋葬
　5.6　まとめ
第II部　古代DNAの地域的特徴と地域間交流
第6章　弥生時代日本海交流の拠点にみる集団像──鳥取県青谷上寺地遺跡出土人骨の検討 〔�霤栂吃А�
　6.1　はじめに
　6.2　弥生時代の港湾集落 青谷上寺地遺跡
　6.3　青谷上寺地遺跡から出土した弥生時代後期の人骨
　6.4　港湾集落の社会的環境
　6.5　おわりに
第7章　南九州地方遺跡の解析──古人骨のDNA・形態分析より
　7.1　年代測定
　7.2　DNA分析──南九州から琉球列島地域
　7.3　成川遺跡の発掘調査
　7.4　南九州から琉球列島地域の先史時代人骨の形態
第8章　先史琉球人の南北移動とゲノム解析 〔木下尚子〕
　8.1　先史琉球人のゲノム解析
　8.2　先史琉球人と九州人の交流
　8.3　考古学からみた先史琉球人のDNA
【言語分野】
第9章　概論:日本語話者の移住過程 〔遠藤光暁〕
　9.1　日本語話者の由来
　9.2　日本語話者集団の移住過程と弥生時代の開始
　9.3　朝鮮語話者集団の移住過程
　9.4　弥生時代から古墳時代にかけての移住
　9.5　おわりに
第III部　日本語と周辺諸言語
第10章　朝鮮半島における諸言語話者集団の地理分布──5世紀前後を中心として 〔遠藤光暁〕
　10.1　『三国史記』の「都市」を表す単語
　10.2　A・B・C 類の語形の語源
　10.3　百済の国王・王妃の称号と夫余系国家の支配者の出自
　10.4　高句麗の百済への南下過程
　10.5　“ 麻立干” 期の新羅支配者の交替
　10.6　金官加耶の起源と滅亡
　10.7　月支国と辰王
第11章　日本語の類型と重層性 〔風間伸次郎〕
　11.1　日本語の類型:アルタイ型言語
　11.2　言語類型論的観点からみた日本語の来源と日本語の重層性
　11.3　交差しない複数の等語線が示す分布からみた日本語の系統的分岐
　11.4　日本祖語におけるアクセントの祖体系の推定　
　11.5　日本語のアクセントの地理的分布と稲作適地/稲作不適地によるその分布の解釈
　11.6　稲作の伝播の歴史
　11.7　無アクセント地帯の分布の理由
　11.8　稲作不適地におけるソバとイモの栽培
　11.9　アクセント史に対する新しい考え方
　11.10　中輪3方言の3方向への進出とこれによる外輪方言の分断
　11.11　人の移動や地域間のつながりに関する古代の文献からの考察
第12章　アイヌ語の類型論的特徴と周辺諸言語との関係 〔中川　裕〕
　12.1　アイヌ語と他言語の歴史的関係についてのこれまでの議論
　12.2　類型論的観点からみたアイヌ語
　12.3　その他のアイヌ語の類型論的特徴
　12.4　まとめ──アイヌ語と周辺諸言語との類型論的関係
第IV部　日本語方言の地域性
第13章　日本語諸方言のアクセントの形成過程──無アクセントを中心に 〔木部暢子〕
　13.1　諸方言アクセントの分布
　13.2　「無アクセント」という用語について
　13.3　有型アクセントから無アクセントが生じたという説
　13.4　無アクセントが有型アクセントよりも古いという説
　13.5　各地の無アクセントの句音調分析
　13.6　まとめ
第14章　南海道地域を中心とした西日本諸方言の系統関係試論 〔中澤光平〕
　14.1　比較言語学
　14.2　日本語と比較方言学
　14.3　下位分類の研究事例
　14.4　西日本諸方言と南海道
　14.5　アクセントによる南海道諸方言の系統関係の推定
　14.6　言語系統樹から考える南海道地域の歴史
第15章　琉球諸語研究における集団遺伝学的手法の可能性 〔狩俣繁久、和智仲是〕
　15.1　琉球諸語の系統研究の課題
　15.2　言語変化の特徴
　15.3　琉球諸語の集団遺伝学的手法
　15.4　比較言語学との融合
第16章　日琉語族の文法的変異の動機づけを探る 〔中川奈津子〕
　16.1　はじめに
　16.2　データと方法
　16.3　調査1:語順の変異
　16.4　調査2:格標識の変異
　16.5　議論
　16.5　おわりに
索　引