<内容>※本書”序”より抜粋
　封泥とは、粘土に印を押して封印としたもので、中国において漢時代を中心とする時期に流行した。封泥は中国古代の象刻作品であると同時に、漢字の変遷や当時の印章制度、官制、地名などを研究する上で貴重な資料でもある。当館は中国・朝鮮出上の封泥六百余点を保管している。その大部分は、清朝の著名収集家である陳介祺氏によって19世紀後半に収集され、1904年に公刊された「封泥攷略」十巻によって広く世に知られたものである。この陳氏収集の封泥は、のちに中国書画の収集で知られる阿部房次郎氏が入手され、昭和10年(1935)に阿部氏から当館(当時は東京帝室博物館)に寄贈された。「封泥孜略』は今日なお封泥研究の基本文献とされており、陳氏封泥を中核とする当館保管の封泥は、世界的にも極めて価値の高いものと考えられる。ここに、当館保管の封泥全点を紹介することとした。

<目次>

原色図版

図版

第一部 中国出土封泥 陳介祓氏収集「封泥孜略J所収 阿部房次郎氏寄贈

第二部 中国出土封泥 阿部房次郎氏寄贈

第三部 中国出土封泥

第四部 朝鮮楽浪遺跡出土封泥

目 録