【内容】※博物館HPより
　最古の大型前方後円墳である箸墓古墳の出現は、初期ヤマト政権成立の象徴であり、その後の古墳の方向性を定めた大きな画期と考えられます。以後、奈良盆地東南部には倭国王墓と考えられる複数の大型前方後円墳が営まれ、初期ヤマト政権の展開をうかがうことができます。また、それらを含む奈良盆地東南部の複数の古墳群には、政権内部の構成が反映 されていると考えられる点で重要です。さらに、同時代の畿内各地の古墳や古墳群からは、首長や有力者集団と初期ヤマト 政権とのかかわりあいをみることができます。
　今回の展覧会では、古墳時代前期における政権中枢である奈良盆地東南部や、それを取り巻く畿内各地における古墳やその出土品に焦点を当て、初期ヤマト政権の成立と展開について考えたいと思います。
【目次】
白石太一郎「邪馬台国連合から初期ヤマト政権へ」
プロローグ　大型前方後円墳の誕生　箸墓古墳
　　　ホケノ山古墳/箸墓古墳
　　廣瀬時習<もっと知りたい>前期古墳の墳形
第1章　“やまと”の初期倭国王墓とその周辺
　1　大和古墳群
　　　中山大塚古墳/西殿塚古墳/東殿塚古墳
　　市村慎太郎<もっと知りたい>特殊器台形埴輪
　　　波多子塚古墳/下池山古墳/マバカ西古墳
　　永山はるか<もっと知りたい>円筒埴輪・楕円筒埴輪・鰭付円筒埴輪
　2　鳥見山古墳群
　　　櫻井茶臼山古墳/メスリ山古墳
　　飯田浩光<もっと知りたい>前期古墳の副葬品
　　鈴千夏<もっと知りたい>威儀具
　3　柳本古墳群
　　　行燈山古墳/櫛山古墳/渋谷向山古墳
　　永山はるか<もっと知りたい>前期古墳の副葬品〜石製品
　4　奈良盆地周辺部
　　　葛本弁天塚古墳
第2章　ヤマト王権と淀川水系
　1　北河内
　　　森古墳群/万年寺山古墳/忍岡古墳
　　鈴千夏<もっと知りたい>前期古墳の副葬品〜鏡
　2　摂津三島
　　　岡本山古墳/弁天山C1号墳
　3　乙訓・南山城
　　　元稲荷古墳/寺戸大塚古墳/椿井大塚山古墳
　　飯田浩光<もっと知りたい>前期古墳の土製品
第3章　王を支えた首長と共同体
　　　乙木・佐保庄遺跡/平等坊・岩室遺跡
　　廣瀬時習<コラム>河内出土の特殊器台・特殊器台形埴輪
　　　久宝寺墳墓群・久宝寺古墳
　　森本徹<もっと知りたい>大型前方後円墳の出現と河内の墳墓群
　　　船橋遺跡/長原遺跡
エピローグ　ヤマト政権の展開
鈴千夏　付論「前期古墳における副葬品配置」
市村慎太郎　付論「特殊壺と二重口縁壺、壺型埴輪」
鈴木靖民　特別論考「古代史からみた初期ヤマト王権　三〜五世紀の倭国」