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<内容>　※今大回は島根大会です
　これまでの厚い研究史か端的に物語るところですが、弥生墳丘墓を擁する中国四国地方を俎上 にあげて、古墳時代のはじまりや大型の前方後円墳が諸地域に展開してゆく過程を検討する意義 はきわめて大きいものかあります。そのいっぽうで、そうした議論を実証的に進めるには、安定的な古墳編年が必要です。しかし、古墳時代前期は、編年の有効な指標とされる埴輪が少なく、土器も地域色が顕著です。そのため、古墳の時期を決める際には、広域に分布する副葬品が重要 な手がかりとされてきました。
　「集成編年」をはじめ、副葬品の組合せとともにほかの要素を加味した編年案がこれまで幾度と示されてきましたが、実際に前期古墳の時期を絞り込む作業は容易ではありません。また近年は、個別の副葬品の編年が著しく進展しましたが、研究の細分化によって体系的な編年の根幹部分を検証することは至難であるといわざるを得ません。
　第 17 回を迎える今回の研究集会では、「前期古墳編年を再考する―広域編年再構築の試み―」というテーマを設定して、いわゆる首長墓の時期比定をおこなううえでの原理や基礎となる部分を確認することを第一の目的とします。副葬品はもちろん古墳築造の基本的要素となる墳丘や埋 葬施設、外部施設にかかわる諸情報を含めて古墳を構成する要素がいかに創出され、伝達し、古墳へと顕現したのかという側面を検討しながら、古墳の年代を決定する枠組みの方向性や時期比定の限界を探ります。
　そのうえで、中国四国の各地の標識となる古墳の年代的な位置づけを明示し、中国四国地方における古墳時代が成熟に至る過程を、集団や社会という観点から読み解くことを試みたいと思います。また、古墳を構成する個別の要素の検討を相互につきあわせることで、墳丘や埋葬施設などの古墳の築造にかかわる諸情報がどのように伝達されたのか、副葬品の生産・流通・保有・副葬の実態がいかなるものであったのかに迫り、中国四国地方における古墳築造背景を考える確かな足がかりにしたいと思います。(本書”開催趣旨”より転載)
<目次>
〔研究報告〕
澤田秀実　墳丘と埋葬施設　不動産資料による古墳編年の論理
岩本　崇　副葬鏡群の変遷モテルと中国四国の前期古墳
米田克彦　中四国地方における前期古墳の玉類副葬に関する予察
北山峰生　中・四国地方の石製品
石貫弘泰　銅 鏃
川畑 純　古墳時代前期の鉄鏃編年
池淵俊一　古墳時代前期における刀剣ヤリ矛の編年研究の課題
橋本達也　古墳時代前期甲冑の形式・系譜・年代論
河野正訓　古墳時代前期の農工漁具の編年
〔中国四国地方 編年の基準となる前期古墳〕
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
〔参考資料〕