<内容>
　近年、いわき市餓鬼堂横穴群が発掘調査され、新発見の装飾横穴や多くの副葬品が出土したことで注目された。いわき市周辺では、中田装飾横穴などの装飾横穴や、八幡横穴など多くの副葬品をもつ横穴が集中し、その特異な様相が注視されてきた。さらに、装飾壁画のモチーフや横穴の形態における九州との類似、横穴出土の須恵器に湖西窯や猿投窯の製品が多く含まれるなど、遠隔地との交流の有無が取りざたされてきた一方、その内実には不明な点が多い。
　今回、「海の古墳を考える会」4をいわき市で開催する運びとなったことを機に、上記のような問題をテーマにすえ、古墳時代終末期の地域間交流について考えることにしたい。(開催趣旨より抜粋)
<目次>
岩橋由季　横穴墓からみた東北地方における他地域との交流
千田一志　装飾古墳と装飾横穴
大久保弥生　須恵器の流通と交易
稲田健一　イワキとヒタチ
西川修一　「海洋民」について
柏木善治　関東地方沿岸部の横穴墓について
鈴木敏則　湖西窯における須恵器生産
田中裕　古墳時代の陸路と海路
大賀克彦　いわき市内の後期古墳出土の玉類について
菅原祥夫　陸奥と近江の交流
廣谷和也　列島東北部における大型透孔付鉄鏃
鶴見諒平　横穴式石室について
竹田裕子　いわき市内出土の東海系須恵器