【編者略歴】
田中克典(たなか　かつのり)
　2000年岡山大学農学部卒業。2006年同大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了。農学博士。総合地球環境学研究所研究員を経て2011年より弘前大学人文学人文学部特任助教。専門は植物遺伝学。フィールドワークや分子遺伝学的手法により、マクワとシロウリの起源地について研究。遺跡出土種子の形態分析・DNA分析に基づいて、日本におけるイネの展開について研究。主な著書は『イネの歴史を探る(佐藤洋一郎・赤坂憲雄編)』(玉川大学出版部)ほか。
佐藤洋一郎(さとう　よういちろう)
　1979年京都大学大学院農学研究科修士課程修了。農学博士。国立遺伝学研究所助手、静岡大学農学部助教授、総合地球環境学研究所副所長を経て、現在、人間文化研究機構理事。専攻は植物遺伝学。遺伝学の立場から日本における「ジャポニカイネの二元説」を論じる。主な著書は『DNAが語る稲作文明』(日本放送出版協会)、『イネの日本史』(角川選書)ほか、
上條信彦(かみじょう　のぶひこ)
　2004年名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程修了。2008年九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位取得退学。文学博士。現在、弘前大学人文学部准教授。主な著書は『下北半島における亀ヶ岡文化の研究 青森県むつ市不備無遺跡発掘調査報告書(関根達人と共編)』(弘前大学人文学部日本考古学研究室・弘前大学人文学部附属亀ヶ岡文化研究センター)、『青森県史(藤沼邦彦ほかと共著)』(青森県史編さん委員会)
【内容】
　大陸から伝わった日本のコメは如何に展開したか?この問題に挑むため、編者は遺跡から出土したイネの種子について形状や近年注目されているDNA分析を推進している。本書はその稲作農耕論を語るうえで基軸となる分析結果の第二弾であり、大阪府立弥生文化博物館との共同研究によって、『日本の古代米』の執筆者である佐藤敏也氏が長年にわたって収集されたイネ種子標本の全体像を解明するとともに、学史的に著名な39遺跡約3,600粒のイネ種子の分析データを公開するものである。本書が稲作農耕社会の基盤となるイネ品種の選抜過程を明らかにするための基礎資料となることが期待される。
【目次】
例言
目次
挿図目次・表目次・写真目次
第1章　調査の経緯と目的
第2章 調査の経過と視点
第3章　調査体制と方法
第4章　佐藤敏也氏収集出土米について
　第1節　【特別寄稿】「米粒有声」古代米研究50年―佐藤敏也先生訪問記と追想―
　第2節　佐藤敏也の生涯と研究
　第3節　佐藤敏也コレクションの来歴と概要
　第4節　佐藤敏也コレクションの出土米について
第5章　北海道・東北地方
　第1節　手宮洞窟(北海道)
　第2節　亀ヶ岡遺跡(青森県)
　第3節　垂柳遺跡(青森県)
　第4節　蛍沢遺跡(青森県)
　第5節　田中3・4遺跡(岩手県)
　第6節　猫谷地遺跡(岩手県)
　第7節　高山遺跡(岩手県)
　第8節　城生遺跡(宮城県)
　第9節　留沼遺跡(宮城県)
　第10節　東作田C遺跡(福島県)
　第11節　関和久遺跡(福島県)
　第12節　天王山遺跡(福島県)
　第13節　朝日長者遺跡(福島県)
第6章　 関東地方
　第1節　小角田前遺跡(群馬県)
　第2節　舞台D遺跡(群馬県)
　第3節　若葉台遺跡(埼玉県)
　第4節　芳賀輪遺跡(千葉県)
　第5節　早瀬前遺跡(東京都)
　第6節　霞台遺跡群(東京都)
　第7節　神谷原遺跡(東京都)
　第8節　八王子城跡(東京都)
第7章　東海・近畿地方
　第1節　伊場遺跡(静岡県)
　第2節　大中の湖南(芦刈)遺跡(滋賀県)
　第3節　芝谷遺跡(大阪府)
　第4節　若江北遺跡(大阪府)
　第5節　亀井遺跡(大阪府)
　第6節　池上曽根遺跡(大阪府)
　第7節　伊丹城(有岡城)跡(兵庫県)
　第8節　平城宮跡(奈良県)
　第9節　唐古・鍵遺跡(奈良県)
第8章　中国・九州地方
　第1節　沢町舎人郷正倉跡(島根県)
　第2節　山代郷正倉跡(島根県)
　第3節　タテチョウ遺跡(島根県)
　第4節　板付遺跡(福岡県)
　第5節　小郡官衙遺跡(福岡県)
　第6節　岩崎遺跡(福岡県)
　第7節　梅坂炭化米遺跡(佐賀県)
　第8節　安永田遺跡(佐賀県)
　第9節　前田遺跡(佐賀県)
　第10節　佐敷グスク(沖縄県)
第9章　放射性炭素年代測定
写真図版
佐藤敏也イネ関係標本一覧
分析結果一覧