<内容>　※今大回は香川大会です
　第17回研究集会において、古墳編年の指標となる副葬品や墳丘、埋葬施設を再検討し、墳丘や埋葬施設などの古墳の築造にかかわる諸情報がどのように伝達されたのか、副葬品の生産、流通、保有、副葬の実態がいかなるのであったのかを検討し、各地域の主要な前期古墳の年代的位置付けを確認した。本回では『前期古墳編年を再考する2』として、古墳出土土器を取り上げる。
　古墳出土土器といっても、その出土位置は埋葬施設内、埋葬施設周辺、テラス面等多様であり、そこで執り行われた儀礼行為等を反映して土器の扱われ方も異なる。さらに、遺された土器には、被葬者が生前に使用した土器もあれば、死去に伴って製作されたもの、他地域から運び込まれたもの、追祭祀等により築造時期を反映しない土器の存在すら推測が可能であり、必ずしも土器の年代観は古墳の築造時期に直結するものではない。
　こうした状況を踏まえ、古墳築造過程における土器の扱われ方を整理しつつ、各地域の古墳出土土器の地域内における編年的な位置付けを明らかにすることを第一の目的とする。その上で、土器の編年的位置付けをいかに古墳編年に置き換えるのか、土器による古墳編年の有効性と限界について、各種副葬品や埴輪、墳丘、埋葬施設などから導き出された古墳の年代観との関係を踏まえて考えたい。また、地域色の強い各地の土器は中国四国地方の土器編年あるいは古墳編年の併行関係を考える有効な指標となるものであり、前回からの共通テーマである広域編年の再構築を視座に各地域の土器編年の併行関係にも迫りたい。(本書”開催趣旨”より抜粋)
<目次>
研究報告
岩本 崇 「副葬品と埴輪による前期古墳広域編年の有効性と限界」
久住猛雄 「土師器から見た前期古墳の編年(2015)〜広域編年網の検討〜」
君嶋俊行 「古墳出土土器が示す年代」
地域報告
山陰:松山智弘
地域報告2 山陽東部:河合 忍
山陽西部(山口県):田畑直彦
四国北東部(香川県):松本和彦
四国島北部(徳島県):栗林誠治
四国北西部における後期弥生土器と古式土師器、そして前期古墳:柴田昌児
中国四国地方　前期古墳出土の土器集成　※約180ページ