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【内容】
　近年注目されている調査は、西都市に所在する日向国庁で数次にわたる建て替えや、正殿・脇殿の「品」字形配置、外周の築地塀など国庁施設の全容が明らかになりつつある。また宮崎県一帯は「火山国」日本を象徴する火山灰(テフラ)堆積が顕著で、台地上の遺跡では鬼界アカホヤ下の調査は当たり前のように行われ、時には姶良丹沢テフラ(AT)下に調査がおよぶこともある。火山灰研究は遺構の年代測定や降灰直前の遺跡復元に大きく寄与している。一方、史跡整備に伴う西都原古墳群。生目古墳群・新田原(祇園原支群)古墳群や蓮ケ池横穴墓群などの調査成果や、島内地下式横穴墓群などの新発見資料などによって既往の研究成果の見直しが進められている。横穴系埋葬施設に限れば、これまで判明している横穴式石室は30例に満たないが、地下式横穴墓・横穴墓は1000基以上が確認されている。6世紀以降、横穴式石室と横穴墓・地下式横穴墓が地域性と階層性を見せながら混在する。
本大会では、上記の研究成果を中心に、「火山灰考古学」「横穴系埋葬施設」「九州南部の律令期」に焦点をあてた三つの分科会を設定した。それぞれの課題について、各地で先鋭的に研究を進められている方々に研究成果を発表していただき、各分野の研究が深まることに期待したい。(本書”開催にあたって”より抜粋)
【目次】
公開講演会
能登 健　災害考古学の方法と展開
柳澤一男　韓国で発見された横穴墓・地下式横穴墓と九州
火山灰考古学の新展開　火山噴火罹災遺跡からの視点
乗畑光博　趣旨説明
村上義直　十和田平安噴火に伴う火山泥流罹災遺跡の様相　秋田県片貝家ノ下遺跡の概要
杉山秀宏　古墳時代榛名火山爆発による被災状況と社会の動態　群馬県金井東裏下新田遺跡の調査から
篠原 武　縄文時代中期の富士山の火山活動と遺跡の様相
中摩浩太郎　貞観16年開間岳噴火と火山災害の実態
角田徳幸　三瓶火山周辺の旧石器縄文時代遺跡
藤村 翔　古墳時代から平安時代にかけての富士山の噴火災害と遺跡動態
丸山浩治　十和田平安噴火前後の遺跡動態
市川 彰　イロパンゴ火山噴火からの復興過程
古墳時代中・後期における横穴系埋葬主体の多様性地域性と階層性
柳澤一男　趣旨説明
中村耕治　町田堀遺跡立小野堀遺跡の調査
山田隆博　宮城県山元町合戦原遺跡の調査　横穴墓群の調査を中心に
和田理啓　南九州における横穴系埋葬施設の多様性
松浦宇哲　横穴系埋葬施設からみた北部九州の地域社会
大谷晃二　山陰・北陸　出雲地方を中心に
花田勝広　畿内地域における横穴系埋葬施設の多様性・地域性と階層性
鈴木一有　東海地方における横穴系埋葬施設の多様性
柏木善治　関東・東北地方における横穴系の墓制について
九州南部における律令期社会の諸相
吉本正典　趣旨説明
永山修一　文献からみた南九州における律令制の展開
津曲大祐　日向国府跡の調査成果
今塩谷毅行　日向における律令期の集落と土器
上床 真　薩摩・大隅における古代の集落
柴田博子　九州南部の出土文字資料
早川和賀子　南九州における律令期の寺院造営　国分寺を中心に