※韓国側の発表も日本語訳が収録されています。2016年11月に韓国の崇實大學校でおこなわれたシンポジウムの資料集です
【内容】
2016年度の第4回共同研究会では韓国の崇実大学校で、「日韓の古墳」と題して近年の日韓の古墳を巡る諸問題と研究成果を、墳形や築造方法、主体部、埋葬儀礼、円筒埴輪などの各主題に分けて、多角的に検討します。時期はもっとも問題となる4〜 5世紀としました。墳形では前方後円墳だけを取り出すのではなく、日韓の古墳全体の中で考えます。近年韓国では、墳丘築造方法の研究が急速に進んでおり、 日本側の研究との比較検討が期待されます。主体部では横穴式石室が、日本列島への導入という大きな課題のもとに長年研究されてきました。近年では松院里古墳群の発掘を契機に、高句麗、百済漢城期および新羅の横穴式石室をかなり区別できる段階に至っています。また横穴式石室だけでなく、横口式石室や木榔、竪穴式石榔でも、日本の中の韓国系主体部や韓国の中の倭系主体部の様相に迫ります。韓国の埴輪(円筒形土器)も資料が蓄積され、墳丘築造から埋葬後までの各段階の儀礼も明らかになりつつあって、それらの検討は必須です。とくに本研究では、まずは同一資料を取り上げ、観察・議論して、その特徴に対する認識の幅の共有を大きな目軸とします。そこから派生する解釈は様々ですので、それぞれの担当者が別の場で公表していただきます。本共同研究では、今回に限らす他のテーマでも、あくまでも一次資料の徹底的な検討とその成果の共有を目的とします。(日本側研究代表武末純一氏開催趣旨より抜粋)
【目　次】
金武重　中部地方　横穴式石室墓の構造と埋葬方法
吉井秀夫　横穴式石室の様相
金洛中　倭系古墳の構造と埋葬方法比較
山本孝文　後期・終末期古墳の様相
李在賢　木棺・木榔・石榔墓の構造比較
高田貫太　竪穴系横口式石室・竪穴式石室・木榔の構造
韓玉眠　栄山江流域古墳の墳形変遷と内容
高久健二　東國の古墳と渡来系要素
洪潜植　各種古墳別封墳形態と築造方法
青木敬　日本古墳における墳形と墳丘構築技術
金東淑　棺鐶金具の出現からみた三国時代の横穴式石室墳の葬法
坂　靖　3〜 6世紀の埴輪