<内容>
※本書推薦のことばより
最初の感想 大作・力作です!
それに、図や表がたくさんあり読みやすいです。
この本は朝鮮半島の先史時代を主に扱っていますが、現在日本語で読める韓国考古学の最新の概説書は一冊あるだけです。それには多数の分担執筆者がいてそれぞれは短い記載なので、何が問題となっており、どこまで研究が進んでいるかいうことを知りたいと思う人には内容が簡単に過ぎると思います。その点、これは一人が通時的に最新の研究を追っているので一貫性があり、また多数の図や表を引用しての説明も分かりやすく大変便利です。残念なのは、韓国の考古学が中心なのに、引用のほとんどが日本人のものと言うことです。韓国の考古学者の研究も日本語訳された一部以外触れていない点も問題です。韓国の報告書からではなく、孫引きになっています。ですので、研究書としてみた場合の評価は難しいです。
このような難点もありますが、一般の方が朝鮮半島を中心とした東北アジア先史時代の最新の考古学の現状や成果を学ぶテキストとしては格好の本ではないでしょうか。素晴らしいと思います。
(大貫静夫先生:東京大学大学院名誉教授)
<目次>
第1章　研究史
　日本の植民地時代の研究
　第二次大戦後の北朝鮮における研究
　1960年代以降の韓国における研究
　戦後の日本人による研究
第2章　朝鮮半島の旧石器時代
　前期および中期旧石器時代
　後期旧石器時代
第3章　朝鮮半島の新石器時代
　朝鮮半島新石器時代の年代と地域性
　朝鮮半島新石器時代の農耕
　日本列島との交流
第4章　朝鮮半島の青銅器時代
　朝鮮半島の青銅器時代文化の起源と開始時期―外来文化か、在地文化の継続か
　前期の様々な土器型式は時間差か、地域差か
　青銅器時代後期の土器
　農耕の伝搬
　住居の変遷と集落の変化
　遼寧式銅剣と考古学的実年代
　支石墓
第5章　朝鮮半島の初期鉄器時代
　初期鉄器時代の起源と推移
　粘土帯土器文化と前後の時代・文化との関係
　日本列島との交流