<推薦します>
　弥生時代後期の相模は激動の地である。後期前半には無住の地かと思えるほどだったのが、後期中頃から東海系土器が多出し、ほぼそれのみの集落さえ出現する。中期も静岡方面と関係が深いものの、後期は様子が違う。人間集団の移動や移住、モノや情報の伝達はどうであったのか。またどのようにこれを読み取るのか。こうした問題について、きわめてユニークな考古誌『西相模考古』でおなじみの面々が、存分に語り合うシンポジウムの記録である。残念ながら私は参加できなかったものの、本書によって当日の舌戦と愉快な空気をよく味わえた次第である。
石川日出志(明治大学教授)
<目次>
・シンポジウム当日編
池田　治　地域の様相1　相模湾沿岸1　相模川東岸　　　
立花　実　地域の様相1　相模湾沿岸2　相模川西岸　　　
大島慎一　用語解説　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
河合英夫　地域の様相1　相模湾沿岸3　酒匂川　　　　　　
及川良彦　地域の様相1　東京湾北西岸　　　　　　　　　　　
篠原和大　地域の様相2　駿河　　　　　　　　　　　　　　　　　
鈴木敏則　地域の様相2　遠江　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
中山誠二　地域の様相2　甲斐　　　　　　　　　　　　　　　　
安藤広道　地域を越えた様相　関東　　　　　　　　　　　　　
岡本孝之　地域を越えた様相　東日本　　　　　　　　　　　　　
総合討議　田井克仁・西川修一+パネラー
・シンポジウム後日編
加納俊介　ヒトの移動へ向う前に考えること　　　　　　　　　
伊丹　徹　ヒトの移動に向かって考えさえられたこと