※伊豆諸島のイノシシはもともと生息していたのか、人々の持ち込みか
<内容>
　本研究では、かつて発掘・採集された動物遺存体の再検討を通じて、弥生時代の生業活動を検討することを目的とした。本研究では、三宅島のココマ遺跡(弥生時代中期。後期)を中心に友地遺跡(縄文時代晩期)・富賀浜遺跡(弥生時代。古墳時代)の資料を扱う。伊豆諸島の一島である三宅島の事例を扱うケーススタデイではあるが、ここで提起される課題は伊豆諸島のみならず、本土部の縄文時代・弥生時代の生業活動の研究にも大きな示唆を与えることになるであろう。(“はじめに”より抜粋)
<目次>
序章　三宅島ココマ遺跡の動物遺存体研究の意義　杉山浩平
　1 本研究の目的　2 ココマ遺跡の概要　3 本書の構成
第1章 伊豆諸島における縄文。弥生時代の食糧資源の問題　杉山浩平
　1 研究史　2 家畜化の問題　3 まとめと展望
第2章　ココマ遺跡出土の鹿角製品の検討　杉山浩平
　1 ココマ遺跡出土の鹿角製品について　2 弥生時代のアワビオコシ　3 ココマ遺跡の生業とアワビオコシ　4 まとめ
第3章　三宅島ココマ、西原、友地遺跡の動物遺体　金子浩昌
　1 各遺跡の動物遺体の記載　2 イノシシ咬耗程度の頻度数にみる分布　3 収束―伊豆諸島における縄文から弥生時代のイノシシ　4 ココマ遺跡の貝類　5 総括
第4章　ココマ遺跡出土イノシシ類の化学分析　覚張隆史　米田穣
　1 はじめに　2 炭素・窒素安定同位体分析の原理　3 試料と方法　4 結果および考察　5 結語
終章 総括　杉山浩平