【内容】　※本書”開催趣旨”より
　渥美窯は、12〜 13世紀頃に渥美半島の全域に分布し、その製品は太平洋岸を北上し、関東や東北まで運ばれた大規模な中世窯です。それだけに、渥美窯製品の分類と編年は、広い地域に影響を与えることになります。この渥美窯製品の分類と編年に関し、どのようにしてその精度を上げていくかは、きわめて重要な問題です。渥美窯と湖西中世窯の製品の峻別は可能なのか。碗皿類と壺甕類の分類と編年は、どのように対応するのか。また、消費地で確認できる渥美窯・中世湖西窯の製品と陶磁器や土師器鍋との関係はどのようなものなのか。解決ずるべき問題点は多くありますが、常により確率の高い資料を確認し、分類と編年の精度を上げていくという視点を持つことが重要です。
土器の分類と編年は、考古学という学問の根幹を構成する極めて重要なテーマです。渥美窯製品の分類と編年を考える上でも、その方法論的検討は必要不可欠です。東海土器研究会は、2000年に須恵器生産の出現から消滅と題したシンポジウムを行いました。この時のテーマも、土器の分類と編年の方法論的検討が重要なテーマでした。今回も、中世渥美窯の検討に際して、今一度その意味を問い直し、土器の分類と編年の確率を上げるためには何が必要かということを問い直したいと思います。
【目次】
安井俊則　渥美窯研究のあゆみと現状
鈴木敏則　渥美湖西窯の山茶碗編年
贄 元洋　土器の分類と編年について
増山禎之　渥美窯の器種分類と壺甕の編年
贄 元洋　消費遺跡から見た渥美窯編年
尾野善裕　京都から見た山茶碗編年
尾野善裕　京都から見た山茶碗編年〜空白の14・15世紀をめぐつて〜
鈴木敏則　増山禎之　渥美湖西窯の器種分類
資料編
生産地
【渥美窯】
古窯別出土山茶碗基本図　増山禎之、鈴木敏則
古窯別碗皿法量分布図　和田達也
【湖西中世窯】
古窯別出土山茶碗基本図　首藤久士、鈴木敏則
古窯別碗皿法量分布図　首藤久士
消費地
西三河　 鈴木とよ江
東三河　 贄 元洋
遠 江 贄 元洋
愛知県史掲載編年表