※韓国側の発表も日本語訳が収録されています。10月31日、11月1日に釜山大学でおこなわれたシンポジウムの資料集です
【内容】
　最新の短甲(板甲)や札甲・冑などの甲冑類、刀・剣・矛・やり・鉄鏃などの武器類、鉄斧や鉇、刀子をはじめとする工具類、鎌や鍬・鋤・タビ・サルポなどの農具、銛やヤス・釣り針などの漁具等、古墳時代前期末から中期にかけて激増する鉄製品の相互比較や出土遺跡の分析とあわせて、彼我の交渉をあきらかにする。
　これまでこうした資料は、セット関係が明確な古墳出土品の分析に偏り、また韓半島三国時代加耶からの渡来系先進技術という脈絡で把握されてきた。しかし、最近の集落調査と研究の進展、韓国での倭系資料の増加と議論が深化しながら、こうした偏った構図の克服が求められ、墓だけでなく生活遺跡での出土様相を加えた資料分析と、日本列島から韓半島へという動きも視野に入れた相互交流モデルへの転換を促しつつある。
　特に韓国では山城で出土する甲冑と武器が少なくなく、また日韓とも、集落内で出土する生産工具の分析方法を練磨する必要があり、いずれの場面でも、使用実態に迫る分析視角からの新たな位置づけが求められている。(研究代表武末純一氏開催趣旨より抜粋)
【目　次】
金栄�Αヾ攅饅佚畋啅蘯鞍長丹�諸問題
鈴木一有　朝鮮半島出土の倭系武装にみる日韓交流
李賢珠　三国時代武装体系の変化と地域性―韓半島東南部地域を中心に
豊島直博　日韓の刀・剣・鉾
禹炳�戞〇姐饂�代装飾大刀の特性と系譜
坂靖　5〜6世紀の胡籙について　復元の再検討と日本列島出土胡籙の系譜―
金赫中　古代韓日札甲の交流‐Ω宇型要札と附属甲
松崎友理　日韓の挂甲
金在弘　三国時代漁具の地域性と階層性
魚津知克　日韓の漁具
金度憲　韓国の三国時代農器具
河野正訓　古墳・三国時代における外茶系農工具の定着過程
李東冠　韓日鉄製農工具の比較検討