レビュー一覧

  • 「日本」とは何か

    Aposus さん

    講談社の「日本の歴史」シリーズの冒頭巻第00巻として書かれた本です。特定の時代ではなく、日本史学が歩んできた道を反省し、進歩史観を克服し新しい日本史の姿を模索する網野善彦による網野史学の集大成とあり、「孤立した島国」「単一な国家・斉一な民族」「稲作中心の社会」などの「日本像」に疑問を投げかけました。しかし、主張が少し激しいですから、この念頭に置きつつ読んだ方がいいと思います。
  • 中世の都市と墳墓 一の谷遺跡をめぐって

    Aposus さん

    静岡県磐田市見付の一の谷中世墳墓群遺跡を中心のテーマとして、中世都市の姿の全貌に具体的な形で人前に現わさせる中世考古学者と、文献史学者、民俗学者の参加によって、中世墳墓のあり方を多面的に明らかにしつつ、この遺跡保存の道を模索しようとする一冊です。物質的、民衆的な中世都市像を了解したいなら、おすすめです。
  • 現代民俗学入門

    Aposus さん

    民俗学研究の多様化に対応し、村落研究を基本とした従来の研究分野を再検討することが本書企画の出発点となっています。そして、現在の民俗学の課題に見通しを与えるため、また「発言する民俗学」として社会的役割を担うことを主眼とするため、研究が資料的・分析的にも不十分な分野も積極的に取り上げたとします。執筆者・編者も当時の30代から40代の若手研究者が中心となっています。
  • 日本民俗学概論

    Aposus さん

    ポスト柳田時代の日本民俗学の問題意識。全書は「時間の民俗」「空間の民俗」「心意の民俗」「特論」によって構成されて、柳田の民俗学を批判的に継承し、また菅豊たちに批判された福田アジオたちの「20世紀の日本民俗学」の全体像が示されています。そのために、今の日本民俗学が危機に直面している時代にこの本を読んでも価値があります。
  • 民俗調査ハンドブック 新版

    Aposus さん

    民俗学研究の定番書ですが、時代遅れであり、「新版」と呼ばれても、大体30年前出版したやつです。村落調査を中心に、事例として書かれているフィールドワークの状況自体がすでに遠い過去のものとなってしまっています。しかし、民俗調査の項目が広い範囲で記載されているので、80年代の日本民俗学の関心を把握することができる。
  • 鎌倉北条氏人名辞典

    てけてけ さん

    『北条氏系譜人名辞典』から20年、あらたに100件近い項目が加えられただけなく、これまでの項目にも最新研究をもとにして加筆・修正などが加えられています。各項目ごとの記述も解説・系図・史料などに分かれてわかりやすく明示されていて、鎌倉時代研究には欠かせない一冊といえると思います。鎌倉北条氏の7本の系図や関連する論文目録も掲載されているので、とても便利です。
  • 中国妝束 大唐女児行

    てけてけ さん

    発掘された遺物をもとに史料などとも比較・考察し、唐代の女性の衣装や装飾品などが、華やかで親しみを感じさせる画風ながらも、緻密に描かれています。中国語が読めない方でも、唐代の女性装束に興味のある方には、とても楽しめる一冊ではないかと思います。
  • 南北朝武将列伝 北朝編

    てけてけ さん

    有名武将だけでなく一般的にはあまり知られていないであろう武将も取り上げられている上、専門に研究してきた第一線の研究者によって書かれています。当時特有の流動的な時代背景の中の武将たちの去就を、人物ごとに整理して書かれているので、とてもわかりやすく、「南朝編」に続き、こちらも南北朝時代を研究するためには必要な一冊となるのではないかと思います。
  • 近江の陣屋を訪ねて

    てけてけ さん

    江戸時代、居城を持てない小藩の藩主の居所または藩庁だった陣屋について、構造面は古絵図や藩庁間取り図などを使って、また、陣屋を中心に陣屋町が形成されていたことなど歴史面もわかりやすく解説してありました。陣屋について滋賀県全県的に紹介してある書籍は見かけたことがなく、この本を片手に滋賀県(近江国)の陣屋や陣屋町の面影を探し歩いてみたくなりました。移築・現存してる陣屋もあるそうです。
  • [共同研究]村と戦場 近現代の兵士の実像1

    Aposus さん

    「近現代の兵士の実像? 慰霊と墓」と異なって、タイトルの「村と戦場」が示すように、本冊にまとめられているのは、銃後社会とされる「ムラ」と昭和期の戦争との関係を論述する歴史学的研究と資料です。特に、軍事郵便、従軍記、陣中日記などのように、戦争の最前線を実際に経験している人たちが書いた文字を史料として、個人体験を歴史に置き、昭和期の戦争を問い直す論文が多いです。