レビュー一覧

  • 近江の平城

    てけてけ さん

    その歴史的背景から滋賀県内には山・平問わず城が多いことは一般的です。本書は多くの平城の中から筆者が選んだ40城を扱っていますが、40城すべてに筆者作成の縄張図が掲載され、歴史的背景・現状(近隣風景・遺構の現状など)・アクセス方法(地図あり)などが読みやすい文章で書かれています。今回の40城はどれも訪れやすい場所にあるので、本書を片手に平城巡りをしたくなりました。平城調査の方法や苦労話なども紹介されているので、これから平城巡りを考えている人には気軽に読めて役立つ良書だと思います。
  • 中世鎌倉のまちづくり  災害・交通・境界

    てけてけ さん

    郡衙が置かれていたとはいえ「田舎」であった鎌倉が、幕府成立とともに、その地形を生かして都市化されていったこと、それが京都とは異なる武士独特の方法であったこと、都市化されたがゆえに様々な災害に見舞われたことなどが、多角的にまとめられています。先行研究も多く引用されているので、鎌倉の都市としての発展を知るための入門書として最適の一冊といえると思います。
  • 中世の非人と遊女

    Aposus さん

    文献や絵図から、中世の職能集団がやがて被差別の対象となっていった過程を読み解きました。13世紀から14世紀にかけて日本の社会構造が大きく変わって行き、農民の生活から離脱していた一種の職業的技能集団の地位が、農業生産の発展や牛馬の家畜化等を背景とした畏怖の念の薄れに伴い、南北朝期を境として次第に軽視されるようになったと述べられました。
  • 無縁・公界・楽 増補 日本中世の自由と平和

    Aposus さん

    戦争や政治事件など権力者の活動を中心とした歴史記述とは違うアプローチで、さらに農民という枠組みから外れる都市民・漁民・職人・芸能民・被差別民への着目など、「瑞穂の国」的な日本史理解を拒否する視点を持っていた網野善彦。史料の扱い方など発表当時から論争が引き起こされても、多種多様な人々・生き方を浮かび上がらせる一冊。
  • 「日本」とは何か

    Aposus さん

    講談社の「日本の歴史」シリーズの冒頭巻第00巻として書かれた本です。特定の時代ではなく、日本史学が歩んできた道を反省し、進歩史観を克服し新しい日本史の姿を模索する網野善彦による網野史学の集大成とあり、「孤立した島国」「単一な国家・斉一な民族」「稲作中心の社会」などの「日本像」に疑問を投げかけました。しかし、主張が少し激しいですから、この念頭に置きつつ読んだ方がいいと思います。
  • 中世の都市と墳墓 一の谷遺跡をめぐって

    Aposus さん

    静岡県磐田市見付の一の谷中世墳墓群遺跡を中心のテーマとして、中世都市の姿の全貌に具体的な形で人前に現わさせる中世考古学者と、文献史学者、民俗学者の参加によって、中世墳墓のあり方を多面的に明らかにしつつ、この遺跡保存の道を模索しようとする一冊です。物質的、民衆的な中世都市像を了解したいなら、おすすめです。
  • 現代民俗学入門

    Aposus さん

    民俗学研究の多様化に対応し、村落研究を基本とした従来の研究分野を再検討することが本書企画の出発点となっています。そして、現在の民俗学の課題に見通しを与えるため、また「発言する民俗学」として社会的役割を担うことを主眼とするため、研究が資料的・分析的にも不十分な分野も積極的に取り上げたとします。執筆者・編者も当時の30代から40代の若手研究者が中心となっています。
  • 日本民俗学概論

    Aposus さん

    ポスト柳田時代の日本民俗学の問題意識。全書は「時間の民俗」「空間の民俗」「心意の民俗」「特論」によって構成されて、柳田の民俗学を批判的に継承し、また菅豊たちに批判された福田アジオたちの「20世紀の日本民俗学」の全体像が示されています。そのために、今の日本民俗学が危機に直面している時代にこの本を読んでも価値があります。
  • 民俗調査ハンドブック 新版

    Aposus さん

    民俗学研究の定番書ですが、時代遅れであり、「新版」と呼ばれても、大体30年前出版したやつです。村落調査を中心に、事例として書かれているフィールドワークの状況自体がすでに遠い過去のものとなってしまっています。しかし、民俗調査の項目が広い範囲で記載されているので、80年代の日本民俗学の関心を把握することができる。
  • 鎌倉北条氏人名辞典

    てけてけ さん

    『北条氏系譜人名辞典』から20年、あらたに100件近い項目が加えられただけなく、これまでの項目にも最新研究をもとにして加筆・修正などが加えられています。各項目ごとの記述も解説・系図・史料などに分かれてわかりやすく明示されていて、鎌倉時代研究には欠かせない一冊といえると思います。鎌倉北条氏の7本の系図や関連する論文目録も掲載されているので、とても便利です。