レビュー一覧

京都石造美術の研究

奈良県などと共に名品が多い京都府内の国宝・重要文化財を中心とした石造物の数々がコロタイプ写真で紹介されている。戦後まもない75年以上前の昭和23年（1948）に刊行されたもので良い味を出している。石造物オタクにとっては、たまらない一冊。

博多津 : 博多遺跡群第221次調査出土の石積遺構

国史跡申請用報告書。小学校跡地から、11世紀後半から12世紀前半の港湾施設の護岸を形成する石積遺構が発見され、保存が決定した。写真はオールカラー、図もカラーを多用しており、日韓の港湾遺構も紹介されており、とても充実した内容。レア本である。

寧波と宋風石造文化

日本の中世石造物に影響を与えた宋風石造文化に関する論文集。東大寺南大門の石獅子（重要文化財）や、わが国最古の開山無縫塔（重要文化財）の３D写真実測図がステキ！

大古墳展　ヤマト王権と古墳の鏡

畿内を中心とした主要な古墳などを紹介した好図録。特に同笵鏡に関する内容は注目され、「三角縁神獣鏡の同笵・同型鏡分有関係図」（85頁）は重要である。

空からみた古墳

およそ25年前の刊行のため、現在よりも古墳周辺の景観が宅地化していないものが多い。史跡整備される以前の古墳の様子は貴重。とても楽しめる一冊。

神郷亀塚古墳

3世紀前半の前方後方墳で、滋賀県史跡に指定されている。墳丘の一部と周濠全部が完存しており、現在は整備されている。考察も充実している。

長柄横穴群　千葉県長生郡長柄町横穴群総合調査報告

長柄町史編さん事業に伴い実施された町内324基もの横穴墓の総合調査報告書。このうち、徳増・源六谷横穴群は、その後の発掘調査を経て国の史跡に指定され、一部が整備公開されている。昭和52年（1977）の刊行ながら、とても良くできた内容である。

滋賀県史跡法堂寺廃寺跡　法堂寺遺跡公園整備事業報告書

法堂寺（ほうどうじ）廃寺跡は、7世紀後半に創建された寺院跡で、滋賀県史跡に指定されている。水田の中に高さ1メートルもの巨大な五重塔心礎があったが、整備に伴う発掘調査で主要伽藍が判明した。本書は、発掘調査報告書と箱入り2冊セットで刊行された1冊目に当たる。

史跡筑前国分寺跡　発掘調査及び環境整備事業実施報告書2

国史跡筑前国分寺跡の環境整備と、それに伴う発掘調査の報告。主要伽藍の様子が良く分かる。

三次元デジタル・アーカイブを活用した古鏡の総合的研究

古墳出土の青銅鏡を三次元計測した資料を掲載。第1分冊には三角縁神獣鏡約280点を、第2分冊には、それ以外の鏡約400点と、三角縁神獣鏡Ｘ線写真約80点が載っており、14篇の論考も充実している。このデータを活用した新しい「同笵鏡研究」を提示したとても重要な文献。レア本である。