レビュー一覧

史跡中里貝塚総括報告書

2箇所が国の史跡に指定されている中里貝塚の12地点と、隣接する中里遺跡や、周辺の縄文時代遺跡などから評価を加えた、まとめ的文献。入手困難な文献である。

西大寺旧境内発掘調査報告書1　西大寺旧境内第25次調査

個人宅造にともなう321平方メートルの調査ながら、溝から1200点以上の木簡や、イスラム陶器などが出土。来日唐人名の書かれた墨書土器や、石上宅嗣の官職を示した木簡など貴重な発見が多い。本篇と文字資料篇に分かれ、箱入りの装丁。超レア本である。

宮廷苑池の誕生 : 飛鳥京跡苑池から日本庭園へ

史跡及び名勝に指定されている飛鳥宮跡苑池の整備に伴う発掘調査が一段落したことから開催された特別展図録。現時点で、この苑池について最も分かりやすい内容となっている。

長比城跡・須川山砦跡総合調査報告書

織田信長の近江攻めに備えて浅井長政が越前朝倉氏の協力を得て築城した城・砦で、米原市と岐阜県関ケ原町にまたがっている。赤色立体地図及びその三次元画像、オールカラーの写真図版などで分かりやすい内容となっている。将来の国史跡を目指しているようである。

史跡紫香楽宮跡(内裏野丘陵地区)確認調査事業報告書

現在6箇所が国の史跡に指定されており、一番南側にある寺院跡で、複数の堂塔の礎石群が非常に良く残っている。金堂と講堂の基壇や、中門に取り付く単廊の回廊が外側は礎石、内側は掘立柱という構造であることが明らかとなった。

史跡・名勝　飛鳥京跡苑池1　飛鳥京跡5

飛鳥京跡の西北にある7世紀中頃に設けられた我が国最古の苑池跡で国の史跡及び名勝に指定された。南池と北池、水路などからなる。本書では、五角形で中の島、敷石、流水施設を持つ南池を中心として報告が行われている。「飛鳥京跡」シリーズでは入手困難な文献となっている。

本野原遺跡3

報告１と2に続き、総括編とも言うべき内容。土器型式期の設定と時期別集落遺跡の分析および報告２に掲載されていなかった出土土器の追加報告からなる。本書刊行後に国の史跡に指定された。九州の縄文時代を考えるうえで重要な文献。

本野原遺跡2

「もとのばる」と読みます。縄文時代中期後葉から後期末までの環状集落で、西日本では初めて「大規模造成」された痕跡が確認された。本書には土坑と出土遺物の報告が掲載されている。

吉見百穴横穴墓群の研究

学史上でも有名な国史跡吉見百穴（ひゃくあな）横穴墓群の多方面から分析した好著。刊行年は古いが、良くできた内容である。

史跡等整備のてびき　保存と活用のために

本書の翌年に同成社から刊行されてものは4分冊だが、本書は「総括編」を加えた5分冊となっている。レア本である。